2013.06.24 第6回アジア保全生態学セミナー(特別講義)

講師:竹内やよい(国立環境研究所)

日時:2013年6月24日(月)16:30-18:00


会場:箱崎キャンパス理学部3号館5階3521室(生物第2会議室)

講義タイトル:熱帯林の群集動態は本当に中立なのか?


要旨:生物群集の多様性や構造を予測するモデルの一つに、Hubbellの中立説(2001)がある。このモデルでは、個々の種の性質には差がなく、確率的な死亡・出生とメタ群集からの移住によって群集構造が決定すると仮定している。こういった現実には即さない厳しい仮定にも関わらず、特に種多様性の高い熱帯林やサンゴなどの群集で当てはまりがよいとされてきた。この発表では、中立モデルのもつ2つのパラメータのオーバーフィッティングよって、中立ではない群集でも中立的に見えるケースがあることを定量的に評価した結果を紹介する。さらに、群集構造の一回のセンサスのデータだけでなく、時間軸のデータを追加することによって情報量を増やし、精度の高いパラメータ推定法の開発を行った。この手法を実際の熱帯林群集に応用した結果、従来の推定値とは異なる値が推定され、また中立性検定では中立性が棄却された。

講師自己紹介:これまで、生物集団、群集の多様性維持機構、樹木集団の繁殖生態と保全をテーマとして研究を行ってきました。フィールド調査、DNA実験、統計解析、理論解析と幅広い手法を用いて、個体や集団レベルだけでなく、遺伝子レベル、群集レベルと階層を跨いだ研究を目指しています。特に、マレーシアサラワク州のランビルヒルズ国立公園では、樹木の開花、結実、実生の死亡動態を10年以上長期にわたって観測しています。
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