2011.11.25-26 保全生態学特別講義

統合生命科学特別講義Ⅵ(1単位)のお知らせ

テーマ  :共生と生物多様性の生態学
講師   :加藤 真(京都大学大学院地球環境学堂・教授)

授業の目的:  「共生」「生物多様性」「ナチュラルヒストリー」
といったキーワードを中心に、生態学や進化生物学の視点から様々な分類群の生物についての研究成果を紹介します。

授業の概要:現在地球上には25万種もの被子植物が知られ、それらをさまざまな形で利用する昆虫が目ざましい繁栄を遂げています。植物と送粉昆虫、植物と植食性昆虫との間の相互作用系などを例に、生物種間の相互作用がどのようにそれらの進化や多様化に関わってきたのかを紹介します。また、陸上生態系を形作る4つの共生系(送粉共生・種子散布共生・菌根共生・防衛共生)や海洋生態系における共生系、ヒトが介在した共生系などについて俯瞰しつつ、そのような共生関係が生態系の維持やパートナーの多様化にどのようにかかわってきたかを紹介する予定です。
(ホームページ)http://130.54.82.4/
もしくは、京都大学 加藤真研究室 >>検索
(参考文献)http://130.54.82.4/publications.html
Kawakita A, Kato M. 2009. Repeated independent evolution of obligate
pollination mutualism in the Phyllantheae-Epicephala association.
Proceedings of the Royal Society B 276: 417-426.
doi:10.1098/rspb.2008.1226

授業の進め方:講義

対象:大学院生
生物学科の学部学生の聴講(生物学特別講義)も認める。ただし、学部の講義は休講にはならない。

日時:     11月25日(金)9:00~12:00、13:00~16:00、16:30~18:30(セミナー)
       11月26日(土)9:00~12:00、13:00~17:00

場所:理学部生物第3講義室
なお、下記のセミナーも講義の一部として行う。


システム生命科学府セミナー

日時:平成23年11月25日(金)16 : 30~18:30
場所:理学部生物第3講義室
講演者:加藤 真先生(京都大学大学院地球環境学堂・教授)

演題:コミカンソウ科の絶対送粉共生系における進化動態と相乗多様化

 植物と送粉者の間に見られる相利共生は、
地球の華々しい植物多様性を生み出すのに重要な役割を果してきたと考えられている。近年、コミカンソウ科カンコノキ属植物とハナホソガ属のガが絶対送粉共生の関係にあることが発見された。ハナホソガの幼虫は寄主の種子を特異的に食害する植食者であるが、雌成虫は自分の子孫の餌を確保する目的で、訪花時に口吻を用いて雌しべを能動的に授粉する。この絶対送粉共生系はコミカンソウ科のさまざまな系統にまたがり、また熱帯を中心に世界的な広がりを持つことがわかってきた。分子系統解析の結果、ハナホソガの能動送粉行動は中新世に一回だけ起源し、幾度かの寄主転換を経て、それぞれの寄主植物の系統で植物とハナホソガの急速な相乗多様化を助長したことが明らかになった。コミカンソウ科の絶対送粉共生は、寄生から共生への進化や、パートナー同士の共進化や共種分化の謎に迫れるモデル系であると言えよう。

(参考文献)Kato, M., A. Takimura & A. Kawakita (2003) An obligate
pollination mutualism and reciprocal diversification in the tree genus
Glochidion (Euphorbiaceae). Proceedings of National Academy of
Sciences of the United States of America 100: 5264-5267.

本セミナーは統合生命科学特別講義Ⅵの一部です。
皆様のご来聴を歓迎いたします。

世話人:矢原 徹一(理学研究院生物科学部門、箱崎-2622
       e-mail: tet.yahara@gmail.com
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