私たちの使命


自然共生社会を拓くアジア保全生態学

私たちヒト(Homo sapiens)は、わずか5万年の間に地球全体に広がり、地球環境を激変させました。その結果、地球温暖化、森林の消失など、人類文明の基盤を支える生態系の劣化が進行しています。とくにアジア諸国では、木材利用・農地転換などによる熱帯林消失が続き、その消失規模は南米をうわまわっています。木材自給率20%、食糧自給率40%のわが国は、輸入を通じてこのような熱帯林消失に深く関わっています。このため、アジアの生態系・生物多様性に寄与する研究教育を発展させることは、わが国の国際的責務と言えるでしょう。

本事業の目的は、世界でもっとも高い生物多様性を持ち、もっとも劇的に経済成長を遂げているアジアを主たる対象に、遺伝子・種・生態系に関する地上観測と地球規模の衛星観測とを結びつけ、保全生態学と地球システム科学を統合した「アジア保全生態学」を発展させることです。この目標を達成するために、九大・東大が独自に開発した教育研究のスキルを融合し、遺伝子科学から衛星観測までカバーした九大・東大シナジーカリキュラムにより、学際的かつ実践的な教育を行ないます。



人材育成の方針

 本プログラムの教育体制は、グローバルエコロジスト養成コース自然再生ファシリテータ養成コース統合班の3つのコースで成り立っています。グローバルエコロジスト養成コースでは、5大陸の現場を知る国際的研究者養成を進め、国内外の教育研究機関で活躍する人材を育てます。自然再生ファシリテータ養成コースでは、自然再生事業を担う専門家を養成し、行政・企業・NGO・博物館・大学などで活躍する人材を育てます。そして統合班では、グローバルエコロジストと自然再生ファシリテータの知識・経験をあわせもつ、俯瞰的リーダーを養成します。(くわしくは教育のページをご覧ください。)





拠点形成に向けた体制

 九州大学と東京大学は、長年日本の生物多様性保全・自然再生研究をリードしてきました。九州大学には、レッドデータブックに適用できる絶滅リスク評価技術、温暖化の下での熱帯林の変化を予測する水・炭素循環モデル、人間の意志決定と生態系のフィードバック関係を考慮するモデル、植物・昆虫のデータベースなどの国際的に卓越した研究基盤があります。また、伊都キャンパスにおける大規模な生物多様性保全事業も、九州大学が世界に誇る実績です。さらに、平成21年には総長直轄の東アジア環境研究機構が設立され、東アジアの環境問題に全学を挙げて取り組んでいます。一方の東京大学には、衛星観測や空間解析に関する卓越した技術と、霞ヶ浦およびその周辺地域の自然再生事業の実績があります。両大学の連携によって、ローカルな保全生態学と地球規模での観測科学を結びつける新しい学問分野を開拓できます。


 本プログラムは、アジアにおける生物多様性保全研究の国際的拠点形成をめざすものです。具体的には、九州大学創立百周年を迎える2011年までに「アジア保全生態学研究センター」を設置し、学際的共同研究体制を強化します。東京大学にもその連携研究拠点を置き、日本を代表する保全生態学の国際研究拠点の確立を進めます。